スギ花粉症
東京都心では春から夏にかけてスギ花粉、ハンノキ花粉、ヒノキ花粉などの樹木花粉症多くなります。なかでもスギ花粉は、1月下旬から4月下旬まで広範囲に飛散します。2024年の花粉飛散量の予測は、例年並と予測されています。詳しくは こちら。
花粉症は、くしゃみ、さらっとした鼻水、目の痒みに始まり、鼻閉、充血、咽頭違和感へと発展していき、ティッシュペーパーが手放せない、勉強や仕事に集中できない、睡眠障害など日常生活を障害する症状になることがあります。スギ花粉症の治療はここ数年で格段の進歩がありました。これまでの対症療法に加えて、スギ花粉特異的IgE抗体を除去してしまう薬剤(ゾレア)も有効です。さらに、スギ花粉に対する免疫反応を変えてしまう免疫療法(シダキュア)が登場しました。
この春、花粉症が強く辛かった方には、免疫療法をお薦めします。免疫療法(舌下免疫療法)は、スギ花粉が落ち着く5月中旬から開始出来ます。
青山アレルギークリニックで推奨する診療・治療を紹介します
☆症状をよく伺います
花粉症の症状に似た他の疾患もあります(特に幼児期では、花粉症(アレルギー性鼻炎)なのかカゼや副鼻腔炎なのか鑑別が難しいこともあります)のでよくお話を伺い、診察をします。
☆血液検査をお薦めします
花粉症をおこす花粉はスギ花粉だけとは限りません。また、ダニやハウスダスト、ペット、カビも同様にアレルギー性鼻炎・結膜炎の症状を引き起こします。血液検査でアレルゲン特異的IgE抗体を測定することで、アレルギーの有無と強さを推測できます。
アレルゲンを特定する方法として、皮膚テスト(プリック、スクラッチテスト)もありますが、多項目の測定のできる血液検査(View 39)を実施できます。
☆スギ花粉症の治療
1.花粉を避ける
①マスクやゴーグルめがねの着用
②鼻洗い、目の洗浄
おすすめの鼻洗い サイナスリンス
2.抗アレルギー薬の内服
最近は、眠気の少ないもの、1日1回の内服で良いものがあります。市販薬として薬局で購入できる薬剤もあります(アレグラ、アレジオン、クラリチン)
眠気の少ない薬剤:アレグラ(フェキソフェナジン) 1日2回
ビラノア(ビラスチン) 1日1回
クラリチン(ロラタジン) 1日1回
鼻閉が強いとき:ディレグラ(フェキソフェナジン、エフェドリンの合剤)
その他の抗アレルギー薬:ジルテック、ザイザル、タリオン、アレジオン、エバステル、アレロック、ルパフィン
3.点鼻薬
①抗アレルギー薬の点鼻:クロモグリク酸、ザジテン(ケトチフェン)、リボスチン(レボカバスチン)
②ステロイド薬の点鼻:ナゾネックス、アラミスト
4.点眼薬
アレジオンLX、アレジオン、クロモグリク酸、リボスチン、パタノール、アレギザール、ザジテン、
5.抗ヒトIgE抗体製剤(ゾレア)
ゾレアは、花粉症の症状である即時型アレルギー反応を引きおこすIgE抗体に選択的に結合し、それを除去してしまうモノクローナル抗体製剤です。すでに、重症喘息患者さんの治療薬として世界的に使用されている薬です。2020年春から重症のスギ花粉症患者さんにも適応となりました。保険適応ですが、やや費用がかかります(血中の総IgE抗体の量と体重で薬の量を決めています)。使用に先立ち、血液検査を実施し通常の治療を実施して経過を診させていただきます。
6.免疫療法
スギ花粉に過敏に反応してしまう体質を変えてしまう治療です。現在は、舌下免疫療法という方法で、スギ花粉の錠剤を舌下に置くだけで治療が行えます。
国内では、スギ花粉とハウスダストの舌下免疫療法用製剤が保険適応となっています。
のウエブサイトを紹介します。
スギ花粉の舌下免疫療法を開始する場合、スギ花粉の飛散時期を避けて開始しています(5月以降になります)。