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学校・幼稚園・保育所でのアレルギー対応

学校・保育所での食物アレルギー対応は、2000年頃から本格的に始まりました。その背景には、給食での食物アレルギー症状が増加したこと、アナフィラキシーと考えられる症状が現場で起こっていること、そして、1988年には、札幌市の小学校で給食で提供されたソバを喫食したあとにアナフィラキシーショックと考えられる症状で死亡事故があったことがあります。

2001年には、加工食品のアレルゲンの注意喚起を目的に、特定原材料表示の法令が制定され、現在の27品目のアレルゲン表示がはじまりました。

学校でのアレルギー対応のガイドラインを作成したのは、文部科学省(学校保健会)が2008年に作成した、アレルギー疾患取組ガイドラインです。このなかで、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎に対して学校で対応が必要な場合の指示書として「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」が登場しました。

3年遅れで、2011年に厚生労働省は、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインを発表しています。学校と同様に、「生活管理指導表」の使用を指示しています。

ところがこの後、2012年12月20日東京都調布市の小学校で、乳製品とピーナツのアレルギーのある5年生の児童が給食でチーズのはいったチジミを誤食してアナフィラキシーショックによると考えられる症状で亡くなりました。

この学校では、すでに学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)が使用されていて、児童もエピペン(アナフィラキシーの症状を改善する自己注射)を携帯していましたが、症状が強かったこと、注射のタイミング、緊急時の対応が適切にできなかった可能性が指摘されました。

ここで問題となったのが

1.生活管理指導表が適切に提出されているか

2.必要最小限の適切な除去食が指導されているか

3.緊急時(アナフィラキシー時)の対応が適切に実施できるか

4.そのための学校・保育所での研修ができているか

が問題となりました。このことを改善するため、2015年に、文部科学省は、「学校給食における食物アレルギー対応指針」を公開しました。

この指針で食物アレルギー対応の考え方のポイントを6つ挙げています。この中で患者さんが理解して頂きたいポイントは2つあります。

1.食物除去は、医師による正しい診断に基づいて、生活管理指導表の提出が必須であること。

  そのためには、血液検査、食物経口負荷試験が必要になります。

   保育所(2019年版) 生活管理指導表

   学校(2019年版)  学校生活管理指導表

           2022年4月から生活管理指導表は、健康保険適応(診療情報提供書扱い)となりましたので子ども医療証があれば負担はありません。

2.食物除去は、完全除去(提供するかしないか)が原則。

  このため、加工品は少量可という除去食はしてはいけません

調布市の死亡事故から10年、全国各地で学校、保育所向けの研修会が開催され学校、保育所での受け入れ体制を整えてきました。

アレルギー疾患取組ガイドラインは、その後、保育所版、学校版がそれぞれ改定されています。

厚生労働省 「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」

文部科学省「学校におけるアレルギー疾患取組ガイドライン(令和元年度改訂)」

保育所、学校で適切な安全な除去給食を提供してもらうためには、正しい診断に基づいた管理指導表を提出する必要があります。

なすのがはらクリニックでは、次の流れで進めていきます。

1.問診

  症状がでたときの状況を詳しく伺います

2.血液検査

  問診に基づいて特異IgE抗体を調べます

3.食物経口負荷試験

  原因食品の確定、摂取可能な量を確定します

4.緊急時、症状出現時の対応の練習

  誤食などで食物アレルギーの症状が出てしまったときの薬(内服薬、エピペン)を使うタイミングなどを練習します。

5.(学校)生活管理指導表の作成

 給食や活動で適切な対応を依頼するために保育所、学校に提出します

6.食物除去解除に向けて

 安全に摂取出来る量を食べながら経過を見ていきます。4~6ヶ月ごとに血液検査を行う場合もあります。食物経口負荷試験は、随時行い摂取可能量を確認しながら増やしていきます。

給食での除去食解除の目安として小学1年生では

鶏卵除去の解除の目安:加熱鶏卵1個、マヨネーズ大さじ1、

乳除去の解除の目安:牛乳200ml以上 必要に応じてプラス運動負荷

小麦除去の解除の目安:うどん、パンなど1食分

 

保育所・幼稚園・学校関係の皆さまへ

給食で食物除去食を提供する場合は、厚労省、文科省ともに正しい診断に基づいた必要最低限の除去を原則としています。

給食提供の原則は、次の6つです。

このため、給食関係職員だけではなく、全ての職員が食物アレルギーの基本的な知識を身につけること

園、学校は、組織として対応していくこと(対応委員会を設置して対応していきます)。

適切な除去食を作れる体制があること(除去食、代替食、お弁当対応のどれで行くかを決めます)。

症状出現時の緊急時対応ができること(エピペンなど緊急時対応ができるように研修します)。

施設内で必要な研修ができていること(日常の対応、緊急時対応ができるように研修をします)。

が要求されています。

食物アレルギーがあり除去食が必要な場合は、入園・入学までに整理が必要です。

食物アレルギーの診断には、時間がかかることがあります。特に食物経口負荷試験が必要な場合、多品目の食物アレルギーが疑われる場合は、十分な時間が必要です。

こうした準備のために小児アレルギーエデュケーターがお手伝いをします。

 

 

 

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