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アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療の3本柱は、

1.悪化要因を減らすこと

2.スキンケア

3.薬物療法

です。

当院で実施しているアトピー性皮膚炎の治療は、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会が協同で作成した、アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2021に準じて行っています。

1.悪化要因を減らすこと

悪化要因は、乾燥肌の他にさまざまありますが年齢により多少異なります。

乳児期早期は、皮膚がまだ薄く弱いので、汗、よだれ、ミルク、衣類による刺激で皮膚のバリアが容易に壊れてしまいそこからさらに刺激が入り込み皮膚に炎症がおこります。乳児期後期ごろから次第に食べ物、ダニなどのアレルギー物質がアレルギー性の炎症反応をおこしてきます。この先、アレルゲン陽性タイプのアトピー性皮膚炎では、主に皮膚からのアレルゲン浸入による抗原特異的IgE抗体が陽性化していくことが多くみられます。アレルゲンとしては、乳児期早期は、鶏卵、牛乳、小麦特異的IgE抗体が陽性になることがあります。食物が原因でアトピー性皮膚炎が悪化する場合もありますが、ここで気をつけなくてはいけないことは、血液検査で食物の特異的IgEが陽性に出たからといってそれがすべて湿疹に関係しているとは限らないということです。

幼児期になると環境性のアレルゲンが陽性になってきます。最も多いのがチリダニ、ハウスダスト、そしてペットを飼っているとネコ、イヌが陽性になります。年齢が高くなるにつれマラセチアなどのカビ、黄色ブドウ球菌毒素などに対する特異IgE抗体が陽性になっています。

思春期、成人のアトピー性皮膚炎では、汗、ダニ、カビ、ペットなどのアレルゲン、皮膚の細菌感染(主に黄色ブドウ球菌)、真菌(かび)、そして、人間関係や仕事のストレスなどが悪化要因となっています。

これらの悪化要因を完全になくすことはできませんが、ひとつひとつ要因を見つけて対処方法を考えます。血液検査を実施することで、関連性のありそうなアレルゲンを推測することができます。

2.スキンケア

皮膚を清潔に保つことと保湿をして皮膚のバリアを保つことです。

皮膚を清潔に保つためには、季節や肌の状態にあった洗浄の回数と石鹸での洗浄方法があります。そして洗浄した後は、保湿が必須です。

具体的な洗い方、保湿剤の塗り方は、環境再生保全機構の資料をごらんください。

>スキンケアのビデオ

3.薬物療法

これまでの治療で治らないと思ってしまっている、再発してしまう原因として

 ステロイド軟膏の塗る量、塗る回数、塗る期間

が大きく影響しているようです。

ガイドラインにありますように、年齢、湿疹の重症度に応じて、軟膏の塗布量を決めます。

塗る期間は、皮疹の状態や血液検査結果によって調整をしていきます。

大事なことは、皮膚の炎症をしっかり抑えるように塗ることです。

皮膚の炎症の強いアトピー性皮膚炎では、皮膚をよい状態に維持していくために定期的なステロイド外用薬の塗布をおこなうプロアクティブ療法が必要になります。

 治療薬に量、塗布範囲、期間に関しては、皮疹が安定するまでは細かに調整する必要があるため適切な間隔での受診をお願いしています。

治療薬の選択肢

アトピー性皮膚炎の病態解明が進み、最近ではアレルギー性炎症反応やかゆみに関係するサイトカイン等の免疫反応を担う分子が解明されてきました。こうした分子を標的にして炎症を抑え込む分子標的薬が開発され、ステロイド外用薬に加えて治療薬の選択肢が広がり、ステロイド外用薬の副作用を避けながら治療していくことが可能になりました。

分子標的薬、生物学的製剤で現在保険適応となっている薬剤は以下の薬剤です。年齢の他いくつかの制限がありますが必要に応じて提案させていただきます。

プロトピック軟膏

コレクチム軟膏

モイゼルト軟膏

 

デュピクセント注射薬

ミチーガ注射薬

リンヴォック内服薬

 

アトピー性皮膚炎は、皮膚の慢性炎症です。学童期以降のアトピー性皮膚炎では、皮膚の炎症を抑えるのに、それなりに時間がかかります。十分に炎症を落ち着かせ、それを上手に維持していき、薬剤をステップダウンできる方法を考え、必要最小限に薬剤治療で皮疹が落ち着くことを目指していきます。

 

 

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